離婚前後で悩んだことが、他者からの干渉でした。元夫の仕事の都合上、共通の知り合いが多かったため、離婚の報告を多くの人にしなければならない状況でした。(いつの間にか知られている人も、思ったより多くいました。)
怖いのは、誰がどうリアクションしてくるか読めないこと。意外な人が説教してきたり、励ましてくれたり、色々なことがありました。
励ましてもらって嬉しかったのは、再婚経験者や親が離婚・再婚した子として育った人からの前向きな言葉でした。
「実は、私も離婚していて、今の夫は二人目!もう男なんて信じられない、と思ってるだろうけど、大丈夫だよ。ももちゃんなら、今度はいい人がやってくるから」 (お世話になっていた産後ヘルパーさん) 「お母さんにひどいことするお父さんが大嫌いだった。お母さんもなかなか逃げようとしてくれなくて、お母さんを守るのに必死だった。子ども達で説得して、やっと離婚。 その後は再婚したし、今では笑い話だけど、小さいうちに離婚してあげられて、ももちゃん偉いよ」 (近所のママ友) 「うちの母は一人で僕を育ててくれたんです。すぐに怒鳴る父と別れてくれて、嬉しかった。父と一緒に住んでいる頃は、妹を守らなきゃと思っていたから。 本当は新しい父親が欲しかったから、もし好きになった女性に子どもがいたら、父親に代わって愛したいと思ってきました。そういう男もいますから、子どものためにも再婚のチャンスがあったら前向きに考えてみてください。」 (元夫の仕事仲間の男性)
一方、かなり辛かった言葉も鮮明に覚えています。
「ももちゃんは、まず自分の男の見る目の無さを反省しようね。どう考えたって、あいつはアウトでしょう?思い当たる節はあったでしょう? 心から反省するまでは、子ども達のために、また結婚しようなんて思わないこと」 (元夫の仕事仲間の女性) 「夫がいなくなろうが、子どもがいるんだからいいじゃん。」 (元夫の仕事仲間の女性/不妊治療をされていたみたい) 「不倫されたの?(いいえ)不倫してるの?(いいえ) じゃあ、なんで?子ども達のために我慢できない?」 (保育園のママ友) 「夫くん、この間保育園の保護者会で 『皆さんから育児の悩みを聞いて、改めて妻への感謝が増しました』 って言ってて、みんなで感激していたんだよ。 子ども達にとってはいいお父さんなんでしょう?」 (保育園のママ友) 「出産前後、支えてくれたのは夫くんでしょう? 今度は君が支える番と思って、我慢できない?」 (保育園のパパ友) 「子どもから父親を奪うって自覚ある? 俺からしたら、君たちは全然話し合いができていない。 俺は、『あいつに土下座してでもやり直してくれって言え』って言うから。 そこからが話し合いのスタートだから。 子どものために、ちゃんとガチンコでぶつかり合いなよ。 俺が立ち会ってもいいから」 (元夫の仕事仲間の男性)
上記のような周囲からのノイズがあまりに辛くて、私は二つの行動をとりました。
①某大学院の心理学の授業を受講
離婚後、引きこもる私を心配して、知人が声をかけてくれました。
「今のあなたにぴったりな授業があるから、受けてみて。教授には話をつけておくから!」と。
詳しく聞いてみると、その先生はハラスメントについて研究されており、とても面白そうだったので、二つ返事でお願いしました。
大学院生に混じって、二回の授業を受けさせてもらいました。特に「ハラスメントの仕組み」について学べたこと、二次被害が何故起こるのか理解できたことは、今にも活きています。
ここで一番紹介したいのは「なぜ、第三者は加害者の肩を持ってしまうのか?」のからくり。
簡単に言えば「喧嘩両成敗」の心理が働くからです。
被害者側の話を聞いていても、無意識に「相手(加害者)にも、言い分があるんだろうな」と中立公平であろうとしてしまうわけです。被害者の訴えが「こんなにひどい目に遭った!」と感情的であればあるほど「まぁまぁ、あちらにも事情があるんでしょう」とかばいたくなってしまう。これが無意識にやってしまう「二次加害」の正体です。よっぽど自覚をもって気をつけない限り、二次加害は誰でもやってしまう、と先生は話していました。(性被害でも「あなたにも隙があったんでしょう?」「そんな服装してるから」と被害者にも落ち度がある、と捉えられがちですね。)
これは職場でのパワハラでよくある話だそうですが、一番やってはいけないのは、第三者立ち合いの下、双方の言い分を聞く場を設けること、だそうです。
「はい。加害者さん、『ごめんなさい』は?被害者さん、加害者さんがこう言ってるんだから、あなたもね?」とまるで子どもの喧嘩の仲裁のようなシーンになっていることにも気がつかず、パワハラを解決したと勘違いする人事。どう考えても無能ですよね。しかし、これで済ませてしまって、パワハラ体質を繰り返している組織は数多くあります。
双方の言い分を聞くにしろ、「被害者から話を聞く人、加害者から話を聞く人は分ける。被害者側に立った人は、意識的に被害者側に立ち続けなければ、被害者を守ることはできない」と先生は断言されていました。
家庭内のモラハラでも同じこと。立場の違いを生み出し、それを利用して罪悪感を煽り、逃げられない状態にした上で暴言を吐く・・。これは立派な暴力です。素人が「夫婦喧嘩」の範疇と思って、口を挟むのは、二次被害を生むだけです。
ハラスメント被害を受けた人は、プロに頼るのが一番です。
▼該当する方はこちらの記事も読んでみてください。
▼その授業で取り上げられた動画。性行為の同意、夫婦間でも同様に必要ですよね。
②ひとり親家庭支援団体に相談
ひとり親家庭支援団体の無料オンラインカウンセリングを受けました。(現在も同じようなサービスをされているか、調べてから団体の情報を載せます)
洗いざらい話したら、労いの言葉の後にこのようなことを言われました。
「不倫が理由で離婚した人よりも、モラハラが理由で離婚した人の方が回復に時間がかかる傾向があります」
不倫が理由であれば加害・被害関係がわかりやすく、「ひどい!」「離婚して正解!」と周りからもサポートを受けやすい。一方、モラハラであると「あなたの受け止め方の問題では?」「あなたにも非があるのでは?」と周りから二次被害に遭いやすい、とのことでした。
不倫された経験のある方には大変失礼な話ですが、離婚になかなか応じてもらえなさそうで、不倫の証拠を探したことがありました。不倫していれば、すぐに離婚話を進められるし、慰謝料も取りやすいだろう、と。
今思えば不倫でも「あなたも相手にしなかったから」と周囲に言われるともよく聞くし、不倫だろうとモラハラだろうと「大事にされなかった」ことが辛かった訳で、何も比べるものではありませんよね。
ただ、たくさんの離婚経験者と話をされてきた方に一般論として、「モラハラは回復に時間がかかる」と言ってもらえて、その時の私は救われました。「あー私、時間がかかっていいんだ」と思えて、少し楽になったことをよく覚えています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
振り返ってみると、あの時は本当に苦しかったなぁとしみじみ思います。
自分の身を守るために、センサーが敏感になっていて、いろんな人の言葉や表情に反応し、疲れ果てていました。
同じようにモラハラ被害に遭われた方にとって、この情報が少しでも役に立てば、幸いです。
コメント